家族や友人などから「頭皮の辺りが臭う」と指摘されたことはないでしょうか。SNS上では、「自分の頭皮の臭いが気になる」「近くにいた人の頭が臭った」「子どもの頭皮が臭い」といった内容の声が上がっており、自分や他人の頭皮の臭いが気になる人は多いようです。
頭皮が臭くなるのはなぜでしょうか。放置すると、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。頭皮が臭う原因などについて、敏感肌専用のスキンケア商品「COCOMAYU(ココマユ)」の開発、販売を手掛けるPLAS Wam(兵庫県加古川市)社長で、美容師の嶋田純子さんに聞きました。
皮脂の過剰分泌が原因
Q.そもそも、頭皮が臭う原因について教えてください。
嶋田さん「頭皮が臭うのは、頭皮の皮脂量と大きく関係しています。頭皮の皮脂は髪を滑らかにしたり、頭皮を守ったりと重要な働きをします。ただし、使用するシャンプー剤によっては、皮脂を過剰に分泌させてしまうことがあり、そのまま放置すると、雑菌が繁殖し臭いの原因となります。皮脂はシャンプーできれいに取り除いても、洗髪後、4時間から半日程度たつと、再び頭皮の毛穴にたまっていきます。
また、シャンプーの洗い残しも頭皮が臭う原因となることがあります」
Q.では、頭皮の臭いを放置した場合、どのようなデメリットが生じるのでしょうか。
嶋田さん「頭皮の臭いを放置していると、頭皮環境が悪化することでさらに臭いが強くなるほか、フケや赤み、かゆみなどを引き起こし、抜け毛や薄毛の原因となる可能性が大いにあります。また、頭皮が臭うほど皮脂がたまっている状態で美容院に行くと、『カラーが染まりにくい』『パーマがかかりにくい』などのデメリットがあります」
Q.頭皮の臭いを改善するには、どうしたらよいのでしょうか。髪を洗うときのコツも含めて、教えてください。
嶋田さん「最初に試していただきたいのは、シャンプー剤の見直しです。頭皮が臭っていたり、頭皮がベタついていたりするときなどに、洗浄力、脱脂力の強いシャンプーを使用すると、皮脂を必要以上に取り除いてしまうため、頭皮の乾燥が進みます。その際、乾燥を補おうとして皮脂が過剰に分泌されてしまい、さらに頭皮が臭うという悪循環に陥ることがあります。
また、香りの強いシャンプーを選び、香料で臭いをカバーしようとすると、頭皮と香料の相性などによっては、かえって臭いが強くなり、さらに不快な臭いが出ることがあります。
しかし、数ある製品の中から自分に合ったものを選ぶのは、大変難しいと思います。普段、通っている美容院に一度相談するとよいでしょう。
洗髪時はまずお湯でしっかり予洗いをしてください。予洗いで髪に付いた汚れの8割程度が落ちるといわれているほか、シャンプー剤を付けたときに泡立ちがよくなります。そしてシャンプー剤で洗う際は、髪ではなく頭皮を中心に指の腹で洗います。このとき爪を立てたり、強くゴシゴシ洗ったりすると頭皮が傷つくため、頭皮トラブルが起こりやすくなります。
先述のように、頭皮に残ったシャンプー剤は、臭いの原因となることがあるため、シャンプー剤が残らないようにしっかり丁寧にすすいでください。また、洗髪後はなるべく早めに髪を乾かしましょう。頭皮をぬらしたままにすると、雑菌が繁殖して頭皮トラブルの原因になることがあります。
このほか、『暴飲暴食』『偏った食事で脂っこい物を食べ過ぎる』『アルコールの過剰摂取』などは、頭皮のターンオーバー(新陳代謝)の乱れを引き起こす原因につながるため、気をつけましょう」
Q.頭皮の臭いが気になるときに清涼感のあるシャンプーを使用してもよいのでしょうか。
嶋田さん「清涼感のあるシャンプーには、メントールが配合された製品とアルコール系の製品の2種類がありますが、いずれも、頭皮に必要な皮脂まで取り除いてしまうほど、脱脂力と洗浄力が高い製品があります。
先述のように、必要以上に皮脂を洗い落としてしまうと、乾燥により髪や頭皮がダメージを受け、かえって臭いの原因になることがあるため、清涼感のあるシャンプーを使用したい場合は、担当の美容師に相談するのをお勧めします」
Q.頭皮の臭いが改善されない場合、どのような病気の可能性が考えられますか。
嶋田さん「頭皮に脂漏性皮膚炎や粉瘤(ふんりゅう)などの症状が生じると、臭いの原因となります。脂漏性皮膚炎は、脂っぽい皮脂臭が特徴です。
また、頭皮の病気が原因で何らかの脱毛症を引き起こす場合があるため、頭皮の臭いがなかなか改善されず、頭皮の病気の可能性が考えられる場合は、早めに皮膚科などを受診するのをお勧めします」
(オトナンサー編集部)
嶋田純子(しまだ・じゅんこ)
美容師
幼少期から重度のアトピー性皮膚炎に、美容師になってからは重度の手荒れにそれぞれ苦しんできた経験から、肌が弱い人が安心して使えるような美容製品の開発を目指し、PLAS Wam(兵庫県加古川市)を設立。自身がよいと実感した馬油を主成分とした敏感肌専用のスキンケア商品「COCOMAYU(ココマユ)」を開発、販売している。また、ヘアー&トータルビューティーサロン「Wam:hair&total beauty」では、オーナースタイリストとして、ヘアー全般、ネイル、アイラッシュメニュー、脱毛などを提案している。「COCOMAYU(ココマユ)」(https://cocomayu.jp/)。
元記事⇒オトナンサー